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昔からワタシは「エレシタ」好き…理解してもらえましょうか。
エレクトリックシタールのこと。Electric Sitar...『電気シタール』
シタールはインド楽器の代表格。ラヴィ・シャンカールを思い出す人も多いはず(ノラ・ジョーンズの父親ね、意外や…)。
エレシタは、名前こそソレだがほとんどエレクトリックギター。音がビョ〜ンと…シタールもどきになっているだけ。ご丁寧に本家同様の共鳴弦も張ってあるようだがほぼ意味ないとか…。
60年代の後半から多くの楽曲に使われたこの楽器。そのオキニな曲を挙げていくが、その前に楽器をチェック…。
エレシタといえば Coral 。ワタシはこのコーラルというメーカーの楽器と思い込んでいたが、どうやら DANO …リップスティックピックアップのギターで知られる、メジャーではないがコアなファンが多いダンエレクトロ (Danelectro) 社製だったよう。
「1947年に Nathan Daniel が創業したダンエレクトロ社は、66年にMCAへ売却された/当時は85%の製品を Sears へ卸していたので、その他の業者向けに作ったのがコーラル・ブランド/エレシタのみならずソリッドボディ・エレキギターもあった」とか。
ちょっと写真がきたないが、この2本は1968製で左がいわゆるコーラル・エレシタ、右は Danelectro ネームでのエレシタだったらしい。baby sitar と現在では呼ぶのかな…。
コーラル・エレシタは Vincent Bell Coral Sitar …さてこれが正式名称なんだろうか。Vincent Bell とは、エレシタ・プレイヤーとして個人名義でアルバムも出しているエレシタの第一人者という位置らしいけれど、あまり馴染みはない(ワタシが疎いだけ?)。
楽器としては "Buzz bridge" というのが肝らしく、これであのビョ〜ンサウンドが生まれるんだとか。
一時は廃れかけたが、現代に甦えらせたのは Jerry Jones なるギタービルダー。
二機種のレプリカモデルを Jerry Jones guitars として世に問うた。見事な完コピだそうで。
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さて楽曲をみていこう。
これぞエレシタ!…イチ押しはやっぱりこれ、【ジョー・サウス/孤独の影】。イントロからガツンと、そして全編で響き渡るエレシタ・サウンド! 南部の名ギタリスト=レジー・ヤングが弾く。このビデオでは、本人もギタリストゆえにエレシタを弾きながら歌っている。コーラル・エレシタと Ace のギターストラップ/実に正しい6−70年代の姿(Ace guitar strap も非常に重要なアイテム)。
ワタシが最初に惹かれたエレシタ曲はこれだったかもしれない、【フリーダ・ペイン/band of gold】。ホランド=ドジャー=ホランドが興した Invictus レーベルからの大ヒット曲だった。70年。ここでのプレイヤーは、Vincent Bell 説と Dennis Coffey …まあどちらにしろこれも見事なエレシタ楽曲で。
これはリアルタイムでなく後追いだが、代表的なエレシタ曲ですな。【Box Tops / cry like a baby】 これもレジー・ヤングだろう。アレックス・チルトンのざらっとしたヴォーカルを引き立てるいいプレイ。
普通エレシタのプレイといえば歌伴、オブリガード的に裏で流すというパターン。しかしこれは意外やガツンとソロプレイ、弾きまくり…エレシタで。【スティーリーダン/do it again】 オリジナル・ダンの…最初の大ヒット曲は、ラジオから流れるやすぐに気に入った。しかし当時は中学生、これが「エレシタ」のプレイとは知る由もなく。ギターはジェフ "skunk" バクスターが派手に弾きまくっていた頃だが、ここでのプレイはもうひとりのギタリスト=デニー・ダイアス。本来のジャジーなバックグラウンドを伺わせるフレーズをエレシタで速弾き。最高。
エレシタ弾きまくりときたらこれも挙げねばならないでしょう。FM局 J-WAVE 開局時によく耳にした【パット・メセニー・グループ/last train home】。リード楽器としてのエレシタという珍しい、しかしこの楽器のあらたな魅力を引き出した希有なナンバーとなっている。メセニーはそうとうエレシタに思い入れを持つようで他曲でもしばしば使っている。チューニングがかなり狂いやすいというエレシタをうま〜く手なずける術を持っているのだな、きっと。
戻って 60's hit 、スウェディッシュバンドの〝ウガチャカ〟なカバーのほうが大ヒット… オリジナルはこちら【B. J. Thomas / hooked on a feeling】、1969年。これもレジー・ヤングかな? すべてレジーと言っておけば事足りる?^^
60年代からはこれも欠かせないエレシタ・ナンバー、全米1位曲【Lemon Pipers / green tambourine】 Buddah レーベルからリリースということでバブルガム・サイケポップという判を押されたが、もう少し骨のあるバンドではなかったかと思います。ここでのエレシタは、本来のシタールの代役/ストーンズやB4ジョージが入れ込んだ「東洋趣味&サイケ」、それをエレクトリックで表そうという…ある意味ブッダらしい安直な使用かも。
いままで挙げたような有名曲だけでなく、アルバムのなかの1曲でもこの楽器使用はもちろんあるわけで。そんな中から、エイモス・ギャレット…こと日本で人気の高いギタリストが意外や、エレシタを弾いているトラックがあるので紹介します。エルヴィン・ビショップが Capricorn 在籍時に出したアルバム『Hog Heaven』、このなかの【true love】はエルヴィンは短いリードギターを弾くのみで全編でエイモスがエレシタ/リードヴォーカルはマリア・マルダーというその筋のファンにはたまらない楽曲ですワ。
和モノにいきましょう。探せばいくらでも出てきそうだが、ワタシがまず浮かんだのは…【鈴木慶一とムーンライダース/スカンピン】。この曲は個人的に「日本のロック楽曲」としてベストな1曲、たまらなく好きでねえ。ここでエレシタが…沁みますワイ。 オリジナル盤ライナーノーツではギターは椎名和夫/徳武弘文。CDのクレジットではそこに "Sitar/白井良明" が入る。ここではエレシタでなく本物シタール?…と思ったら、CDライナーノーツで鈴木慶一が『ソウルミュージックの感じを出したくて呼んだ白井良明が(本物)シタールを風呂敷に入れてやってきた/が、イントロは後日椎名がエレキシタールを借りてきてプレイして差し替えた…』と書いてる。
鈴木慶一の指摘のように、エレシタ=ソウルミュージックという発想、かなりあると思えます。スローからミディアムなナンバーでの使用はたしかに多かった。代表格はスタイリスティックスだがその前にモータウン、スティーヴィ・ワンダーを。
【愛するあの娘に】しかり、【涙をとどけて】は全編鳴りっぱなし。どちらもファンク兄弟のエディ・ウィリスか。
ここでふと思ったこと… Vincent Bell と Thom Bell ... トム・ベルは親戚ヴィンセントが開発した新楽器を広める手助けとして頻繁にエレシタをセッションに使用した…なんて事実があったら面白くない? まあないだろうけど^^。
それにしてもやはりエレシタといえばトム・ベル! ではないか。
フィリーソウルをギャンブル/ハフと牽引したトム・ベルはスロー/ミディアムでどれだけ使ったことか。
スタイリスティックス。このバラディアー・グループは日本人の感性にマッチしたため我が国でも大きく成功した。それを支えたプロデューサーがトム・ベル。曲も…、共作者との名コンビ、ベル=リンダ・クリード。それとファルセットのリードシンガー、ラス・トンプキンス。このトライアングルが鉄壁だったと言えるだろう。
なにを置いても【誓い】。【you are everything】/【betcha by golly wow】/【I'm stone in love with you】
スタイリスティックス前のトム・ベル・ワーク、デルフォニクスも。
【didn't I blow your mind?】 これも見事なエレシタによるメロディー追いかけ。
そういえばフィリーでもギャンブル/ハフ組の楽曲では…エレシタが思い浮かばない。【me & mrs. jones /billy paul】などはかなりハマったように思うのが。
ネットでみれば、ゼップ/ジェフ・ベック/ヴァンヘイレン等々、ギターフリークならば一度は使ってみたくなるアイテムだったはず、その楽曲もいろいろとあるらしい。
80年代以降でワタシがまず思い出すのは英国からのこれ、【Paul Young /every time you go away】。これもヒットした時に一発で気に入った。やるな英国勢、アメリカンソウルフィーリングのばっちり詰まった名曲! と思ったら、これはホール&オーツ・カバー=ダリル・ホール曲だったね。なるほど、フィリー生まれでアマ時代にはトム・ベルと一緒に歌っていたというダリル、ここまで黒い名曲を書けるのも道理というモンで。
最後はひとりゼッペリンことレニー・クラヴィッツを。
6〜70年代 diggin' に長けたレニーゆえエレシタもマストアイテムなんだろう、自身のヒット【it ain't over til it's over】でも後半に聞こえてくる。が、こちらを採り上げておきたい。一時期は〝いい関係〟だったフレンチ・シンガー=ヴァネッサ・パラディ盤。アルバム『be my baby』収録の【your love has got a handle on my mind】。この甘〜い楽曲にハマったエレシタ…。作・プロデュース、そしてエレシタ・プレイもレニーが手がけていた。
これは、というエレシタ曲がいくつも抜けていると思います。
とりあえず思い出せた楽曲のみなのでヨシナニ…。
まだ書き足すかも。
12_05_15
※最後に一発、〝クレイジー〟なエレシタを…