◆ IT'S NOT THE SPOTLIGHT

 さてと、ここらで出してしまおうか。ピート・カーを知ってもらうならばこれがベストというアルバムを。完成度の高さといい、ピートも抜群のプレイでサポート、正直言えばピートのギターならこれ一枚でオーケーってな傑作中の傑作。しかしこれ、秘蔵のレア盤でもなんでもない。なにしろロッド・スチュワートだ。それも売れに売れた『Atlantic Crossing』なのだから。
 この盤に関してはもう2枚も一緒に紹介せねばならぬ。というのも、ピートにとってもマッスル・ショールズにとってもこの曲抜きには語れない、そんな曲があるから。

“It's not the spotlight―マッスルといえばこの曲でしょ!”

 ジェリー・ゴフィン/バリー・ゴールドバーグ作のこの曲に絡めてアルバム3枚を紹介。

#017
"Gerry Goffin / It Ain't Exactly Entertainment"
  [ '73 Adelphi Records/US]
 produce : Gerry Goffin/Barry Goldberg/Gene Rosental
<A:★★★>

 キャロル・キングとのおしどりコンビでティンパンアレイの代表格として活躍、数々のヒット曲ライターだったことはご存じのとおり。作詞担当のゴフィン旦那、別れたキャロルのSSWとしてのブレイクに刺激されたのかなあ、「オレだって歌えるぞー!」? 作りましたるソロ作品がこれ。長いことエンターテイメントの世界で喰ってきたがこれからは違うゼ、とでも言いたかったか、タイトルは「こいつは全くもってエンターテイメントなんかじゃないんだ」ときたね。それにしても、過去の実績からしてメジャーからでも出せそうな人、なのにメリーランド州のアデルフィなる弱小レーベルからとは意外。そのかわりに2枚組の大作だ。

 詞があっても曲がなけりゃ歌にならぬ、そこで旦那がチョイスしたコラボレイターはバリー・ゴールドバーグ。(<この人については次のアルバムで) 基本的には全16曲すべて Goffin/Goldberg 作。いくつかの曲で共作者がからむ。1面トップ曲はなんと、キャロル・キングがゴフィンの次に結婚したチャールズ・ラーキーが名を連ねるとは! ラス・タイトルマンも2曲共作。(<だったらワーナーから出してやれ!…まだ役員になる前?) わがピート・カーも1曲にその名あり。但しこれはギター・プレイにたいしての計らいだろう。

 さて、この2枚組大作もぶっちゃけてオレの感想をいえば No Good 。なぜって“ディラン”なんだよね、これ。この頃結構多かった、歌うとディランになっちゃう人が。ロン・ウッドなんかその典型。ゴフィンも喉をつぶすような歌いぶり、オレの最も嫌いなディラン節なんだ。(ディランになりたかったのに、キーが高すぎた…涙のキース・リチャーズ…(笑)

 2枚16曲は長すぎるという意見も多し、確かに。3面トップ "Set Job" は12分31秒の長尺曲。誰もが「長げーゾ」といいそう。ただオレはオーケー。これが前記ピート共作曲。ギター弾きまくり。最も長く弾いているセッション曲だろう、これが。
 おしなべてことピートに関してはこれほどギターを弾いているアルバムはないのでそこだけは個人的にオイシいのだが。
 "It's not the spotlight" は2面3曲目。ああ、このアルバムはこの曲につきるな、やっぱり。「エンターテイメントじゃない」とタイトルしたアルバムで「そいつはスポットライトじゃない」と歌うって、この旦那、派手な芸能生活によっぽど疲れたんでしょうかね? 初カヴァーがどれかよくは分からないが、たぶんこれがこの曲の初出だろう、ピートが素晴らしいオブリを弾く、必聴。

 72年11/12月マッスル・ショールズとフェイムでの録音。マッスル・リズム四人衆はなぜか全員不参加!(<他のセッションとバッティングしていたか?)スペシャル・サンクスにその名があるのみ。(蛇足/ここにレスター・シル Lester Sill の名あり。フィル・スペクターとフィレス・レーベルを立ち上げた男。エンターテイメント・ライフを偲ばせる唯一の名)
 ギターはエディ・ヒントンとピート。ブルージーなヒントンのギターもふんだんに聴ける。曲毎に二人がリードを取り合っている。

  このアルバムでベースを弾くのが Jerry Masters 。この人と Steve Melton の二人がマッスル・ショールズ・スタジオのエンジニア・コンビ。南部のスタジオ(レーベル)というのは、エンジニア/ミキサーなどにミュージシャンが当たることが多いよなあ。自給自足が原則でしょうか。キャプコーンでの Paul Hornsby, Johnny Sandlin 組とか。ピート・カーも自身のアルバム、プロデュース・アルバムでは必ず自分でミキシングを担当、“コンソール卓をいじる”人なのである。

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作者が歌う“スポットライト”、第二弾はもちろんゴールドバーグ。

#018
"Barry Goldberg"
[ '74 Atco/US]
 produced by Bob Dylan and Jerry Wexler
<C:★★>

 ここで御大ディランが登場。ゴフィンのアルバムではなくこちらに顔を出した。全曲マッスル・スタジオ録音。ディラン初のマッスル入りはこのアルバムで、かも。もう一人のプロデューサーがジェリー・ウェクスラー。リミックスにトム・ダウド、ストリングス・アレンジにアリフ・マーディンとは大御所が揃いに揃ったり。しかしディランはたぶんに「名義貸し」、箔付けだろうなあ。4曲のコーラスなどをやってはいるけど。
 マッスル四人衆もこちらは全員参加。ギターはピート/ヒントン/ジミー・ジョンソン/George Terry (<この人、クラプトン・バンドだった人だっけ?)

 バックの豪華布陣に目がいきがちなアルバムなれど主役はバリー・ゴールドバーグ。えーと、どこらへんからだっけ?この人がロック・ヒストリーに出てくるのは。 オレの印象ではいつもアル・クーパーの後ろにいた人…。『Super Session』ではオルガン弾いていたよねえ。Barry Goldberg Reunion か?そんなバンドでのアルバムもあったような。ソロも60年代から出していたはず。フォーク時代から活躍していたキーボーディスト、ってところですかねぇ。そうそう Electric Flag、バディ・マイルズらとのバンド、これもあったね、70年頃だっけ。貴重なスーパーサブなればこそこれだけのメンツ集合なんでしょうな。

 アルバムの目玉はもちろん "It's not the spotlight"。ふたたびピートが…といいたいところなれど、ここでのギターはジョージ・テリーだろう。
 もう1曲の目玉がやはりジェリー・ゴフィンとの共作 "(I've got to use my) Imagination" 。グラディス・ナイト&ピップスのカヴァーで全米トップ5入りした大ヒット曲、これの作者ヴァージョン収録というわけ。(ピップス・ヴァージョンのヒットはこのアルバムの前年)

 さーてと、この手の裏方さんのソロ。もともとボーカリストじゃなし、歌唱表現に期待してもしょうがなし。朴訥な歌声を“枯れた味”と聴けるかどうかが勝負。“メインストリームの売れ線とは一線を画すが、アメリカの良心が聴こえる”―それがこの時代の「隠れた名盤」の味わい方、だったんだよなあ。しかーし、今聴き返すに、面白くねーや!
 当時は、前記のようにプロデュースが誰だのバック・ミュージシャンが誰のと能書き付けて喜んでいたけれど、結局この手のアルバムって、イケる1〜2曲を聴くためだけに残してあるんだよねぇ。このアルバムでいえばやっぱりあの2曲ぐらい。トロピカルな曲もあったりとバラエディにとんではいるがいかんせん曲に魅力なし。
 その2曲にしてもロッドのカヴァー/ピップスのカヴァーのほうが断然上。あっさりした歌い方でどの曲も流れております、バリーさん。

 ピートはこのアルバムではエレキは弾いていない様子。最終曲でドブロのスライド、これはピートだろう。アコギ、それもコード・ストロークのみではピート的ポイントも低いブツ。それでも Hood & Hawkins のリズム隊は素晴らしい。中でも "Imagination" でのHawkins のタム打ちドラム・プレイは彼のセッションでも屈指の名演。

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#019
"Rod Stewart / Atlantic Crossing"
[ '75 Warner/US]
 produced by Tom Dowd
<A:★★★★★>

 「It's not the spotlight 特集」、最後はこの傑作『アトランティック・クロッシング』。ジェリー・ゴフィン、バリー・ゴールドバーグに続いてのマッスル録音による "It's not the spotlight" 、これこそ真打ち=最高の出来!…とするはずだったんだ、本来は。ところが今回三枚を改めて聴き込んでみたら、どうも変。このロッド・ヴァージョン、20数年の間マッスル録りと疑わなかった曲が…う〜む、分からぬ。いや、違うゾ、この曲はたぶん“ロス録音”。ああ、ここまで盛り上げてきたことが崩れてしまった…かもしれないが、と云ってこのアルバム評価は揺らぐ事なし。ただ "it's not the spotlight" に関してはあえて云おう、ゴフィン・ヴァージョンがベストと。

 稀代のロックンローラー/バラッディアー、ロッド・スチュワートもアメリカR&Bからの影響絶大、とりわけこの人は「サム・クックに成りたかった男」。フェイセス/ソロでの成功をステップに Promised Land =アメリカへの上陸作戦開始がこのアルバム。Movie Star に代わってこの時代は Rock Star がハリウッドの豪邸の住人に。ロッドも豪邸で元ピーター・セラーズ夫人、ブリット・エクランドと同棲生活ってわけ。(重税逃れに大半の英国ロッカーはイギリス脱出をしていたが…)

 この傑作、なんとしてもアナログで見て聴いてもらいたい。まず一点はジャケット・デザイン。Gatefold Jacket=二つ折り見開きジャケ両面に渡るイラストの素晴らしさよ。Jefferson Starship 『Dragonfly』などロック・ジャケでも光る仕事をしてきたエアブラシ・イラストレーターのピーター・ロイドの作品。Big Ben の大英帝国から酒瓶とサッカーボールを抱えて摩天楼の米国へ Giant Step するロッドという秀逸な構図。それをアート・ディレクションしたのがジャケット・デザインの天才“コッシュ”こと John Kosh だ。(←ここでは詳しく書けないがビートルズからイーグルスまで、一時代を築いた才人)

 もう一点はAB面の振り分け。A面を Fast side としてロックンロール曲で固め、B面は Slow side 、バラディアー・ロッドの真価発揮という二本立て仕様。これが何とも良いんだよなあ。このアルバム後も3枚か、このパターンを続けたロッド。硬軟いけるロッドらしい妙味はアナログでこそというわけ。
 このページではお馴染みのトム・ダウドをプロデューサーに、アリフ・マーディンも絡むという名盤らしい布陣はゴフィン/ゴールドバーグ・アルバムとも共通する。(←ジェリー・ウェクスラーの名がないのが意外だが)

 内容に関してはもう言うことなし。棄て曲なしの全10曲、聴いてもらう以外に何もなし。普段は「ロックンローラー」ロッドは多少一本調子な感が否めないが、このアルバムは曲の良さが群を抜いていて飽きさせない。チャック・ベリーなどのスタンダードを外しオリジナルで固めたのが良かった。カヴァー "Drift Away" (ドビー・グレイのヒット)がミディアム・テンポで「箸休め」になっている。人気の高い、南部らしい名曲だ。
 A面よりもやっぱり好きだな、B面Slow side が。このB面、オレのなかではビーチボーイズの『Today !』のB面と同等…。なれど、超有名曲、最後の "Sailing" だけが…個人的には(もちろんいい曲だが)いまひとつ馴染めない。このアルバムじゃなくてよかったんじゃないか、そう思えて。
 クレジットでは録音場所は5ヶ所だが、うちNYとマイアミはオーバーダブのみだろう。ベーシックはロス、メンフィス、マッスルの3ヶ所と想像する。ただ各々の曲がどこの録りかということが分からないんだよねぇ。(←曲毎のクレジット無し) プレーヤーは以下に分けられそう。

ロス> Jesse Ed Davis, Fred Tackett (g) / David Lindley (fiddle)
   / Bob Glaub, Lee Sklar (b) / Willie Correa, Nigel Olsson (d)
メンフィス> MG's (Steve Cropper, Duck Dunn, Al Jackson)
マッスル> Muscle Rhythm Section + Pete Carr

 マッスルで録らずにどうする!と長いこと思っていた "It's not the spotlight" だが、ドラムの音がロジャー・ホーキンスじゃないっしょ、これ。それにピートのエレキがない、マッスルでならばかかせないはずだ。全編に入るマンドリンはデヴィッド・リンドレイ、ならばロスでの録音か。ここらへん単純ではない。作者クレジットで見ると "Alright for an hour" はロッドとジェシ・デイヴィスの共作。ロスのジェシの曲だからロス録音、なのにリード・ギターは間違いなくピートが弾いている。スティーヴ・クロッパーが共作者にあるのでメンフィス録りらしい "Stone cold sober" でもやはりギターはピートの音だ。

 つまりこのアルバムのリード・ギターはほぼ全編ピート・カーが任されているのです。曲の素晴らしさも名盤クラスだが、オレにとってはピートのギター・アルバムとしても名盤中の名盤、故にこのサイトページではベスト・アルバムはこれだと前述したわけなのである。ロッドにかなり気に入られたのだろう、ピート。メンフィスへもロスへもギター抱えて飛んでいったんだな、きっと。
 そしてピートのギターに限って云えば "This old heart of mine" "Still love you" ―この2曲でのプレイは最高のセッション・プレイであると声を大にしたい! 出しゃばらず、かといって引きすぎもしないで曲を際立たせる絶妙のギタープレイがここでは聴ける。曲としても "This old heart of mine" はアルバム中ベストだろう。
 ロッドは15年後にこの曲を再録音した、それほど思い入れある名曲なんだろうな。この曲はアイズリー・ブラザーズが不遇だったモータウン在籍時にはなった唯一のヒット曲(Holland-Dozier-Holland 作)。そこで再録では本家のロナルド・アイズリーとデュエットした。しかし、オレはシンプルなこのマッスル録音のヴァージョンが断然素晴らしいと感じている、今でも。そうそう、マッスル録音曲は "Three time loser" "All in the name of rock'n'roll" "Drift away" "This old heart of mine" "Still love you" の5曲だと思う。

(蛇足050821:"This old heart of mine" はマッスルではないというのが最近の判断。録音場所の推測が非常に難しいアルバムではある…)

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  ピート・カーのセカンド・ソロ『Multiple Flash』のライナーノーツ、Bob Kaus という人の文章には“あなた方は間違いなくピートのギターを聴いているはずさ。ロッドの "Tonight's the night" 、ポール・サイモンの「僕のコダクローム」…を聴いていないってことはないだろう…”とある。はて? ロッドの、『Atlantic Crossing』に続くアルバム『Night on the Town』( "Tonight's the night" 収録)のクレジットにはピートの名は無かったはず。見返すとやはり無い。

#020
"Rod Stewart / Night On The Town"
[ '76 Warner/US]
 produced by Tom Dowd
<B:★★★★>

 そうだった、クレジットを鵜呑みにしてはいけない。漏れも多いと心しておこう。このアルバムのクレジットでは1曲 "The first cut is the deepest" のみがマッスル録音で、残りはすべてハリウッドの Cherokee Studio で録られているとある。しかし、バックプレイヤーの名に MG's 組もあることから想像するとメンフィス/ハイ・スタジオでの曲もありそう。ようは前作でのセッション曲も持ち越し収録していて、新録のみがチェロキーでの録りだろうな。

 ギター、確かに "Tonight's the night" のプレイはピート、のみならず "The first cut is the deepest" でも当然マッスル録りだからピートがリード(Cat Stevens が書き、P. P. Arnold が Small Faces をバックにつけて歌った、この曲のカヴァーがいい。ロッドのヴァージョンもオリジナルのPPヴァージョンもどちらも棄てがたい良さなんだよなぁ)。共に最高ではないがいいプレイ。
 前作とは逆にA面が Slow side、B面が Fast sideのこのアルバム、B面曲に魅力がないのが残念。ベストは A-4 "The killing of Georgie (part 1&2)" 、この曲、ロッドにとってベストの1曲だろう、最高。

 

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◆ BIG TREE Records

 ピート・カーを語る時に不可欠なのがこのレーベルのこと。ピートはいつからかは定かではないがここの所属アーティストでもあったのだから。ピート・カーの名前はギタリストとしてよりもこのレーベルからの一発ヒット・アーティストとしてのほうが知名度があるかもしれない。いや、それはピート・カーとしてではなく LeBlanc & Carr なのだが。
 アトランティック傘下のこのレーベルの稼ぎ頭はイングランド・ダン&ジョン・フォード・コリーの二人組。76〜80年に4曲のトップ10ヒットを放った。彼らほどじゃないが次に売れたのがルブラン&カーの "Falling" というシングル。チャート・マニアの頭の片隅に残っているだろう、78年全米13位まで上昇したスマッシュ・ヒットのこの曲を。
 マッスル界隈のセッション・ベーシスト/バック・ヴォーカリストだったレニー・ルブラン(Lenny LeBlanc/フランス系の人だろう)はピートとはふる〜い付き合いらしい。76年に仲良くお互いがソロ・アルバムをこのレーベルから出した。翌77年には組んでルブラン&カー名義のアルバムを出し、そこからのカット曲がヒットしたという次第。

 

#021
"Lenny Le Blanc"
[ '76 Big Tree]
<A:★★★★★>

 engineering, mixing, arrange そして produce、すべてをピートが手掛けるこのアルバムはピート的見地からもアルバムとしても『アトランティック・クロッシング』に負けず劣らずの名盤。ピートの頑張りはこちらのほうが上か。Special thanks にはジェリー・ウェクスラーの名あり、やっぱりね。
 面白いのがこの一行、"Thanks to Jerry McGee for use of his Stratocaster" 。このジェリー・マギーとはここ何年も夏は日本暮らしだろう、あのベンチャーズのギタリストのジェリーだよな。この人、元々は南部の凄腕ギタリストでデラニー&ボニーのバックなどもこなしていた。そのジェリーに「ストラト貸してくれてありがとう」とはよっぽど程度の良いストラト持ってたんだろうね。

 前記トラヴィス・ウォマックの項で覚えていて貰いたいと挙げた名がこのレニーと Roger Clark (d), Randy McCormick (k) 。ピートの Big Tree でのセッションの基本リズム・セクションはすべてこのメンツで行われている。一番気心の知れた仲間だと推察できるからだ。ロジャー・ホーキンスやデヴィッド・フッドはギャラが高すぎるだけかも知れないけどね。
 それとスタジオも Muscle Shoals Studio ではなく、Wishbone Studio (場所はマッスル・ショールズにある)というスタジオがメイン、そこと Broadway Sound Studio も。どちらもマッスル界隈、この辺りにはかなりスタジオがあるんだね。

 レニーは甘く凄くいい声、歌も上手い。スロー/ミディアム・ナンバーを歌わせると抜群にいける人だ。ピートも基本はそのテンポでのバックで真価を発揮するギタリストだからこのアルバムは絶妙のバランスで二人の息が合っている、最高の仕上がりとなった。曲も書ける人で10曲中5曲を作(すべて共作。内2曲はピートと)。詞を書く人なのかもしれない。
 もちろんアップ・ナンバーもあるがどの曲もまことに南部らしい雰囲気/リラックス&レイド・バックでいいのだ。ポール・リヴィア&レイダースのメンバーだった Steve Eaton 作の "Rag Doll" (No.010 Art Garfunkel『Break Away』参照)という曲が甘く、とりわけ際立つ曲。ピートはエレキのみならずアコはもちろん、ドブロ、ハーモニカ、12弦、スライド、ベース、パーカッション、コーラスと大活躍の1枚。ほんとこれこそ隠れた名盤!

 

 

 

 

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