ジーニーのアルバムに共作曲が含まれていた、ニックスとも近い位置にいただろうこの人も Alabama Rockin' Guy の一人…。
アルバム『Lenny LeBlanc』のところでクレジットに“ジェリー・マギーありがとう…”とあったことを書いた。それは現ベンチャーズのジェリーとも。しかしもしや別人ではという思いもあったのだ。というのもそこには Jerry McGee とあったから。あのジェリーは Gerald = Gerry が正しい。ところが今回気付いたがこのアルバムクレジットでも Jerry になっている。ギタープレイは間違いなく Gerry McGee 、やはりスペルミスが多かったンだろうな。ということで、ピートとマギーは旧知の関係を確認した。しかしこの二人がアルバムで顔を合わせているのはこの盤くらいじゃないかねぇ。 それにしても好き者にはたまらん豪華なメンツが集まった盤、これ。マッスル四人衆にピートはもちろん、ギターに
Eddie Hinton, McGee, Tony Joe White/ドラム&オルガンに Dixie Flyers からマイク・ユートリ&サミー・クリースン/コーラスにはリタ・クーリッジ(当時このLPのプロデューサー=クリスのカミさん)、ダン・ペン、スプーナ・オールダム、なんとビリー・スワン&ジョン・プラインまで。 A面、1曲目で Southern Funky = Swamp 全開、アコとエレキ・サイドは co-writer のヒントンだろう。ピートがドブロ、ソロ取るジェリー・マギーが見事の一語。支えるリズム隊=フッド/ホーキンスも素晴らしい。2曲目、この出すぎずそれでいて鮮やかに彩りを添えるピートのプレイは彼のすべてのセッションでも五指に入る名演だ! 曲もいいからなあ。3曲目のチッキンピッキンギターはマギーだろうか、イケる。4曲目でのボトムの効いたリズムギターこそジミー・ジョンソンの真骨頂、マッスルらしい演奏。続く五曲目もジミーのリズムとピートのオブリ(トレモロのエフェクト)にバケット/フッド/ホーキンス…マッスル最高の時かもしれないね。6曲目は、やはりマッスル物の傑作『Mike Finnigan』に近い曲があったような、ファンキーなナンバー。左にヒントン、右ピートとギターの振り分け。 ギターといい曲といい、名曲名演とはこんな盤のことを指すンだよな。それは裏も続く、頭はフリッツ以上のファンキーガイ、トニー・ジョーのスワンプギター炸裂。2曲目、カントリーテイストを彩るピートのドブロとベケットの tack piano。全員参加コーラスのラフさもいい味。3曲目がまたまたたまらんなぁ…メロディアスなスローナンバー、絡むは絶妙なピートのオブリ…最高。4曲目、なんで今ベンチャーズなのか不思議、ねっとり糸引くスワンプ指弾きギターがしびれるジェリー“Mr. Swamp”マギーのプレイ。五曲目、アップ/スローを交互に配置でこのスローナンバーがまたまたピートの名演、名曲。Man's Man's World に参加紅一点リタのコーラスも良し。締めはハモンドが心に染みるミディアムスロー。 ああ腹いっぱい…70年代アラバマ州はマッスルショールズ録音の粋とも言えそうな名演をたっぷり楽しませてもらいました、ひっさしぶりに…。
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ダン・ペン、メンフィス在のこのスワンパーといえばAlex Chilton 率いたBOX TOPSの「あの娘のレター」のプロデューサー…なんてのは後追いだし、サザン・クラシック
"The dark end of the street" "I'm your puppet" 等のライターとして南部音楽の良心とも…それも随分と後だったなぁ。まあそれでも名前はあちこちで聴かされたこの裏方さんにもソロが一枚あって、それがまた傑作との評判だった70年代。オレ、当時にこれ聴いてないンだよね。で、独レパートリーからのCDでやっと。 ん、ライナーによれば生まれは Memphis, Tennessee じゃなくて Vernon,
Alabama ですか。ティーンの時に組んだバンドがダンのヴォーカルに Daivd Briggs (PF), Norbert Putnam
(B), J Jerry Carrigan (D)、なるほどねぇ。その後は…皆さんご存知だろうから省略。ともかくこのLPは…
ドニー・フリッツ、ジェリー・ゴフィン…20年を越えて2枚目を。ダンもやっぱり開いたヨ、24年。セカンドは97年、これは全曲マッスルサウンドでの録音だ。しかしなぁ、なにゆえエンジニアが
Johnny Sandlin なんだろう。マッスルときたら Jerry Masters / Steve Melton でなければ。サンドリンはメイコン、キャプリコーンの…。そういえばJapaneseキシダ某の昨年のマッスル録音もサンドリンが手掛けていたっけ。20年の歳月は…ピートの参加やマスターズのミックスも無くし、サンドリンがジョージアから出張り、いや移りかもしれない…いろいろと変えてしまったと実感。 どの曲が昔、どれが新曲かまったく分からないが、他のアーティストで慣れ親しんだ "The Dark
... " "Do Right Man, ..." "I'm Your Puppet" 等の作者ヴァージョン、バックの朴訥なGROOVEのおかげもあって良いのです。もちろん最高なのはダンの声なのだけど。 (蛇足:イ)Donnie Fritts との共作3曲を含む ロ)3曲目 "It tears
me up" のギターってクレジット通りにレジー・ヤングなのだろうか?どうも違う気がする…)
ルー・アン・バートンなる女性シンガー、今日まで知らなかった。レコ屋棚でジャケにピンと来て裏を見れば、ウェクスラーの名、録音はマッスルショールズ…で即買った。このLPは彼女のデビュー盤。ウェクスと共にex-Eagle、グレン・フライがプロデュース担当。 全曲マッスル四人衆がバック、ギターのみジミー・ジョンスン以外に4名、グレンはもちろん、お馴染み顔は Wayne
"Night Train" Perkins 。意外な名が Jimmie Voughan 、あの亡きスティーヴィ・レイの兄貴、The
Fabulous Thunderbirds のギタリスト。ライナーによれば彼女の出はテキサスで、ヴォーン兄弟らと活動していた過去があるらしい。R&Bフィーリングをウェクスは買ったつもりだろうが、ジャニスにはほど遠く、ボニー・レイット、ボニー・ブラムレットに仕立てようにも役不足。
愛敬のある憎めない顔ゆえどうにかいいところを見つけようと間をおいて何度か聴いてはみたがやっぱりダメだこりゃ、曲に魅力無さすぎ。リンダ・ロンスタットもそうだったがこのジョーなどのように曲を書けない人は当然選曲によってアルバムの出来不出来が激しい。もっといえば素材の人だから料理人たるブレイン=プロデューサによって色が決まってしまう。ジョーもリオン・ラッセルと組んだ時はバッチリとはまったがその後の迷走は否めない。ヒットしたとはいえ、サントラ歌って糊口をしのいだりする姿はみっともいいモンじゃなかった。 プロデューサがアランお父〜さんだが、その色が薄いのもマイナスポイント。南部でも独特な New Orleans
Flavor を誰もが期待するはず、がアルバムトップに自作を提供(?)しているくらいで、あとはちらっとエレピに彼らしさがあるのみ。 (蛇足:これはピートの仕事だろうと思える「青い影」(マッスルセッション)でリードを弾くのは Larry Byrom
。ケイト・テイラーのアルバム…これとどれだっけ?…何枚かでこの名があったはず。出は南部らしいがなんとあのステッペンウルフのギタリストとして活躍の過去があるらしい…)
100円箱にでもない限りもう買わないと前回書いたこのシンガー、200円であったのでつい手が出たが後悔…もうロハ箱にあっても持ち帰るまい! 録りは5カ所とあるがベースはマッスル/デトロイトのみ。他カ所は弦の被せだろう。いや、NYの Sterling
Sound Mastering まで録音場所に入れているがここはその名の通りマスタリングラボ(毎度お馴染み、 George Marino による)。
久々に出た素晴らしきマッスル・アルバムがこれ。タイトなリズムをキープするフッド&ホーキンズコンビといいベケット&クレイトン・アイヴィのキーボードといい、Muscle Shoals Sound Studios 最良の音盤が残った、まさにレコードな一枚。73年という時期からしてマッスル物ベストの一枚と言えるね、これは。なんとも豊潤なマッスルの香りいっぱい、甘い…しかし甘過ぎず。 ところでボビー・ワマックご本人はと云うとよう知らんです。あまりに有名な "It's all over
now" の作者、その印税だけで一生喰えそうなお方だが、ちらっと頭をよぎるのは、この曲は Valentinos 時代の作?とか、この人ってサム・クックの愛弟子?…よう知らんですよ。知るはサウスポーの
Guitarist/Singer/Songwriter ということぐらい。ストーンズとは仲良し?ロニーとだけ?…まあ何でもいいやね、とにもかくにもこのソロアルバムは
GREAT の一言。 素晴らしいLPだが惜しむらくはピートの働きが今一つ小さい、ギタリストのアルバムだから仕方ないところかな…。ギターのクレジットはボビー本人/Jimmy Johnson/Pete/Dave Turner の四人。かなりの部分を本人(もしくはデイヴ某)が弾いている様子。それでも{A}としたのは "Natural Man" でのオブリが素晴らしかったから。他2曲程度しかピートは弾いていない(アコギはあるかも)がこのあまりにマッスルらしい名曲での冴えだけで十分評価できる。
60年代末にポップシンガーとしてデビューらしいがオレの知るのは70年代に入ってのSSWブームの一翼を担った猫アニさん。素晴らしきメロディメイカーとして、特に『Tea for The Tillerman』『Teaser & The Firecat』の2枚が好きだったLP。その後はあまり関心持たなくなっていったが、今チャート本を見れば70年代いっぱいは英はもとより米でも随分と売れ続けたンだねェ、ゴールドディスク連発、この77年作(ちなみにタイトルは "is it so"、「でしょ?」の意)も全米7位まで上昇というヒット。 さてどんな音なのかと一聴したその印象は Almost Bad.... 。アルバムトップがいけねぇやね、シンセの鳴り響きは間違ってエイジアをかけてしまったかと思ったヨ(持ってないけど)。後はまあまあ落ち着いたがそれでもあの2枚のようなシンプルさは影を潜め、豪華ミュージシャンをバックに配したサウンドが仰々しく聴こえた。特に2曲のインストがよく分からぬ、1曲はギリシャ系のキャットらしく彼の地の民族楽器らしき音も含むが他方はチープなスペーステクノといった風。バッククレジットに
Chick Corea とあるがここに参加なのだろうか。 ラストB-5、ここでやっとピートのギターが。これはミディアムでなかなかの曲だ。これまたロッドが唄ってもいいかなと想ったが、そういえばロッド、『Night on the Town』でキャット曲 "First Cut is the Deepest" を唄っていたよなァ。それもマッスル録音で…。
手堅い作りのポップカントリーアルバム、この一言に尽きる。となると後はもう趣味の域でして…、オレにはいまひとつ刺激無く…。曲はそれなりにいいンですがね。 それにしても意外なマッスル録音盤だった。「Sylvia's Mother」「憧れのローリングストーン」等、日本ではさっぱりだったが米ではヒットを連発したこのバンドにマッスル録りがあろうとは。それも音を聴く限り全曲マッスルプレイヤーによるバックトラック、全曲のリードギターはピートとしか思えないのだ。 派手目なプレイ含めピートのギターがふんだんに聴けるが内容は今ひとつ。ただこのLPからのカットで全米トップ10ヒットとなった「めぐり逢う夜 Sharing
the night together」、ここでのリード/オブリはなかなかにグッド…これがピートによるとは今の今まで知らなかったがね。 これはちょっと気付かなかったなぁ。実は上記 Dr. HOOK アルバムからのヒット「めぐり逢う夜」だが、この曲がページ3/『Lenny
Le Blanc』に収録されていた。ドクター・フック78年に対して76年のアルバムで作が Eddie Struzick/Ava Aldridge
。エディ・ストラジクはレニー・ルブランのソングライトパートナーとして、ソロ/ルグラン&カー等のアルバムに多数の曲を提供している。となるとオリジナルはこのレニー・ソロ収録ヴァージョンとみてよいだろう。いわばマッスル曲。
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