<サイドB>
●ヤーヨは愛の言葉
詞:マギー 曲:マギー/村松
B面はごきげんなダンス・チューンで幕開け、ロニー・ボーカル。
タイトルは《ララは愛の言葉》delfonics でしょう、曲調は違うけれど。
歌詞に「J. B.」「ルーシー」と出てくるけれど、ルーシーはメンバーのことか、それともルーシー・ショーのルシール・ボール? JBは James Brown かなあ。
●涙のブレイク・アウェイ break away
詞・曲:de shannon - sheely 日本語詞:マギー
前記、ジャッキー・デシャノン曲のカバー。曲の終わりが、失恋列車が発車へのカウントダウンという演出(アレンジ)が絶妙であります、これまた村松邦男が冴えた手腕発揮なのか。
歌うは、これはビート・ヒミコなのか、それともマミー“金魚”か、いまだに分かりませんが、ちょっとハスッパな歌いぷりに惹かれる 。
●電話はスバヤク just so lonely
詞・曲:Zecca 日本語詞:ヤッコ
これ、作がゼッカ(?)となっていてカバーらしくはあったけれど知らないナンバー、気にしていなかった。
当時は知る由もなかったがネットの便利な時代となって、すんなり判明。意外なオリジナルであったのだ。
GET WET という男女ふたり組の81年のヒットだった。Sherri Beachfront と Zecca Esquibel 。ビーチフロントとは芸名だろうが、ゼッカ・エスキベルはラテンにありそうな名前。
ほぼ完コピだったんだなあ…。ロニー嬢ボーカルにピッタリはまる絶妙なカバーだけれど、オールディーズヒットではなくあえて同時代曲(前年のヒット!)を持ってきていたとは(ただし自分たちと同じ志、ネオ・オールディーズゆえのシンパシーだったんだろう)。《悲しきロンリー》の邦題で日本発売もあったらしい、全米39位のスマッシュ。
NYのグループらしく、プロデュースがフィル・ラモーンでバックはビリー・ジェエル・バンド。ビリーがオールディーズ風楽曲を作り出したきっかけはこのコンビとの噂も…。
坂上とし恵という当時のアイドルがこの曲を、スクーターズのさらにカバーとして歌ってことを知ったのはごく最近のこと。ナベプロ所属のからみからだったろう。
《坂上とし恵/電話はスバヤク》
●危ないドライブ
詞:ミンダナオ 曲:ルーシー
好きなんだな、これも。ルーシーのボーカルをサポートするチープな、farfisa organ だろうか、村松のアナクロ オルガンがいい。
それにしても男性陣が「女性歌詞」を書いていて、それが実によくできている。
●東京ディスコナイト
詞:ロニー/チャダ 曲:村松/マギー
棹尾を飾る大名曲…はおおげさか。いや、それほどにいい曲。いわゆるモータウン・ビート、英米のみならず日本でも星の数ほどあるが、本家以外の楽曲ではワタシにとってベスト1はこれ。
きらびやかな大都会の夜を想起させるスケールの大きさ。時期的にバブルのはしり頃だがそんな浮わついた感じは無く、ソウル/R&Bをディープに愛する sisters & brothers への賛歌となっているところがグレイト。
両面とも最後がビシっとしまっている、やっぱり最高。
《東京ディスコナイト/恋のバカンス》(83年5月)
傑作アルバムからほぼ1年後にシングルを出す。
スリーヴは師匠であるテリー湯村画伯入魂のイラスト。
A面はアルバムから…ではなく、前述どおりにリレコ(再録音)、まったく別テイク。B面はLP未収録。
のちのCD表記ではB面のアレンジが村松邦男となっているが、そんなはずはない。両面ともにアレンジ/プロデュースを、村松に替わって鈴木慶一が担当。
とにかくアカンのです。A面のアレンジがダメなら、B面もよくない。やりたい気持ちも少し理解できるが(ザ・ピーナッツのカバーなのでナベプロ楽曲、やりやすかったことだろう)個人的には無視している。
ワタシの、日本のロックベスト1アルバムは慶一アルバム、たいした才人ではあるけれどスクーターズとは…みごとなまでのミスマッチ、というか時期の問題(鈴木慶一の音趣味変遷という)であったかな。
07
アルバム/シングルを一枚づつ残してバンドは休止状態へ。皆さん本業へ精を出したのか。
リーダー信藤氏はコンテムポラリー・プロダクションとして、ユーミン盤【ノーサイド】から始まって大活躍期へと移ってゆく。
時代は移り92年、「徳間ジャパン」から廉価CD化されたのが初CD。なぜかジャケでは左上の ((stereo))という表記を削っている(そのうえカラーコピーのようで色悪し)。中は普通にステレオですが…。
アルバム未収録の《恋のバカンス》をボーナス追加。気をきかせたつもりだろうが、ついでに実に余計な事をしている。アルバムラストチューン《東京ディスコナイト》までシングルテイクに差し替えた。より新しいバージョンを入れたといいたい?
その後、活動再開はなかったけれど2曲だけ出てきた。
Solid Records からのコンピCD【best of Solid vol.3】に、ともにカバーで《Shout》《So long baby》、未発表の2曲が収録された。
この盤は買い損ねているうちにプレミアがついてしまった。2曲だけのために高い金出す気になれずにパスしていたがCD(E)「コンプリート」とタイトルされたCDが出てそこに収録されてやっと聴くことができた次第。
【A Toribute to Terry Johnson : Pillow Talks】
あらたなミレニアムとなった2001年に吉報。テリー湯村画伯へのトリビュート企画盤が発売になった。
イラスト界の Pop father 湯村 "Terry Johnson" 輝彦大先生はジャケット仕事も多数、音楽業界へも影響を与える御仁、とくにSweeeet Soul に関しての泰斗として知られる。それゆえの企画で、そこへスクーターズもひさびさの顔合わせ、新録で参戦。
この企画盤とは、画伯が愛してやまないニュージャージー・ソウルの Sylvia 女王様、彼女の名曲 "Pillow Talk" を喉に覚えの者らが歌い倒すという代物。
01: Terry's Theme (with message from Sylvia)/筒美京平 with 小西康陽
02: pillow talk(雷入り)/スクーターズ
03: pillow talk (SBS remix)/スチャダラパー
04: pillow talk(CKB仕様)/クレイジーケンバンド
05: pillow talk (readymade treatment)/DJよしお&小西康陽
06: pillow talk (demonstration in market)/常盤響
07: pillow talk/高木完&もりばやしみほ
シルヴィア本人からもメッセージをもらい、書き下ろし曲でスタート。そのあとは怒濤の連続技。
先鋒をつとめたのがスクーターズ。
これがもう最高、ひさびさのロニー嬢のハイトーンにワタシはノックアウトされてしまった。オリジナルのもったり曲調から一転、アップテンポ・アレンジ。節ちゃんの声はまったく昔のままで嬉しかったなあ。SEをラストに配したグルーヴィーチューン。歌詞が面白そうなのにいまひとつ聞き取りにくいことだけが残念。
他の曲は、正直ワタシは苦手な…当時のエッヂな皆さんによるカバー大会。しかし思いの外どれも面白かった。元曲のクオリティの高さゆえでもある。なかでベストチューンはCKB。supreme な改造車仕様、原曲の〝ねっとり皮膚感覚〟に最も近い、下世話の極地が心地よすぎ…見事なエレシタ百万円曲はこのページの下部を…。